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RAM単価が2007年水準に逆行 AI需要が20年分の進歩を消滅

AI需要によるHBM高騰で、メモリのGB単価が2007年以来の水準に上昇。20年分の価格低下が数ヶ月で帳消しになった事実は、テクノロジー史上初の異例だ。

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RAM単価が2007年水準に逆行 AI需要が20年分の進歩を消滅
Photo by Harrison Broadbent on Unsplash

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20年分の価格低下が数ヶ月で帳消し

ソフトウェアパフォーマンス研究者で科学者、GitHub開発者のDaniel Lemireが公開した歴史的なコンピュータメモリ価格の比較データは、テクノロジー業界に衝撃を与えている。数十年にわたり指数関数的に下がり続けていたメモリ価格が、AI需要の急増により20年分の進歩をたった数ヶ月で帳消しにしたのだ。

「単位あたりのRAM価格は2007年とほぼ同水準にある」とLemireは述べ、「これまでに類似の事例を記憶していない。これは歴史的な異常事態だ」と語った(Tom’s HardwareのJowi Moralesの報道より)。

DDR5最新価格と歴史的比較

Tom’s Hardwareが確認した第三者データによれば、現在のDDR5メモリの1GBあたり価格は13.28ドルから11.41ドルのレンジにある。この価格帯で記憶装置が取引された最後の時期は2008年で、当時のDDR2は1GBあたり約15ドルから11ドルだった。

インフレ調整後の2024年ドル換算では、現在のDDR5価格は12.74ドルから10.94ドルとなり、2011年のDDR3価格(1GBあたり11.85ドル)に匹敵する。 Stanford DAM Project(David Shim氏によるデータ集計)が公開する価格データが裏付けとなっている。

テクノロジー史上初のコスト逆行

デジタルコンピュータの歴史が始まってから約80年間、技術は指数関数的に進歩し、ハードウェアコストは一貫して下がり続けてきた。1946年のENIACは政府が40万ドルを投じて開発され、今日のインフレ換算で約685万ドルに相当する。当時の計算能力は毎秒5,000回の加算処理だった。

現在、100ドル以下で入手可能なMoto G Playのようなスマートフォンはスナップドラゴン680プロセッサーを搭載し、毎秒3.3兆回(3.3 TOPS)の演算処理が可能だ。ENIACと現代のプロセッサーを直接比較することは難しいが、技術進歩とコスト削減のスケールを示すには十分だろう。

HBM需要が価格を駆動

今回の価格高騰の直接的な原因は、テクノロジーの後退や供給のボトルネックではない。AI競争に伴うHBMへの膨大な需要がそれだ。記憶装置メーカーは供給を拡大しているが、AIインフラが消費する容量がそれを上回っている。

Lemireはこの需給バランスの崩壊を次のように指摘した。

「記憶装置の生産量は年間約20%増加している。通常、大規模で成熟した産業にとっては驚異的な成長率だ。しかし、需要も年間20%で増加していると考えてみてほしい」

長期的展望と技術的課題

Lemireは、この状況を打開する可能性として2つの道を示唆している。1つは、大量のメモリを必要としないAIシステムの構築である。もう1つは、より大量かつ高速な記憶装置を生み出す技術革新だ。

現在のところ、このいずれも具体的な解決策として実装されたものは存在しない。メモリ価格の高止まりが、AI開発や一般消費者向けコンピューティングの両面で影響を及ぼし続ける局面にあることは確実だ。

編集部の見解

短期的に見れば、HBM需要の高まりは一般消費者向けDRAMにも波及し続けると見る。スマートフォンやPCのメモリコスト増は製品価格への転嫁を加速させ、Google Pixel 11の値上げ確定に象徴されるように、端末メーカーの価格戦略を根本から変更せざるを得ない状況が続くだろう。AI向けと汎用メモリの価格乖離は、今後3〜6ヶ月でさらに拡大する可能性がある。 長期的には、メモリ価格の構造的高止まりがAI開発の参入障壁を押し上げる効果を帯びる。大規模モデルのトレーニングコストが膨らむことで、計算資源のクラウド集中がさらに進み、AI開発が一部の hyperscalerに集約される構造が固定化される恐れがある。半導体製造の技術革新が20年分の価格低下を数ヶ月で無効化したという事実は、今後のチップ設計においてメモリ効率が最も重要な設計パラメータの一つになることを示唆している。 今回の事象が提起する根本的な問いは、AI需要が年間20%超で成長し続ける前提のもとで、供給側の技術革新だけで価格を抑制できるのかという点だ。

参考

出典: Tom's Hardware

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