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NVIDIA製GPUはRISC-Vを10〜40基内蔵

NVIDIA製GPUは1基当たり10〜40基のRISC-V中核を内蔵し描画以外の制御を担う。Falconからの移行の経緯を解説する。

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NVIDIA製GPUはRISC-Vを10〜40基内蔵
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NVIDIAの現行GPUは描画処理の中核とは別に、多数のRISC-V中核を内蔵している。SolidotのEdwardsの報道では、2024年の出荷分だけで合計10億を超えるRISC-V中核が使われたとされる。製品の型番により1基当たり10〜40基のばらつきがあり、用途は描画ではなく補助的な制御処理である。

NVIDIAは2024年に、同年のGPU製品全体で10億を超えるRISC-Vコアを使用したと発表しました。

この事実は命令体系の勢力図だけでは捉えきれない。GPUは巨大な並列演算器であると同時に、多数の微小な制御器を束ねた集合体でもある。今回の開示はその実態を数量で示した点に意味がある。

描画に使わない補助処理の中核群

RISC-V中核は頂点処理や陰影付けには関与しない。電源投入順序の管理や時計信号の調整、電圧と温度の監視、映像の符号化と復号、保安機能の実行など、周辺処理を受け持つ。いずれも描画面積の陰で常時動作し、製品の安定性と安全性を支える役割である。

GPU内部では演算資源の規模が増すほど制御対象が増える。上位製品ほど監視すべき電源領域が多く、保安区画の数も増える。1基当たり10〜40基という幅は、製品階層による制御負荷の差を反映したと見るのが自然である。

この構造は特定の世代に限らない。Solidotが引用したXDA Developersの記事によれば、対象は2024年のGPU製品全体である。個別製品の仕様表には表れない中核が、年間で10億の規模に達した事実は重い。半導体設計における異種混載が例外というより前提になったことを示す。

命令体系への対応は道具鎖にも波及する。例えばGNU Binutils 2.47公開、RISC-V拡張と高速リンクが扱った拡張対応や結合処理の高速化は、こうした組み込み用途の開発効率に直結する。制御用中核の数が増えるほど、構築道具の整備が製品開発の速度を左右する。

独自制御器Falconからの転換

NVIDIAは以前、FAst Logic CONtrollerと呼ぶ独自の微小制御器を使っていた。略称はFalconである。2005年にG98とともに初めて導入され、以後は世代を追うごとに搭載数が増えた。2016年までに1個のGPU素子に15種類を超える異なるFalcon機関が集積されたとされる。

10年間に使われたFalcon中核の総数は約30億個に上る。用途は映像の符号化と復号、電源管理、保安機関など多岐にわたった。描画用大規模回路の隙間を埋める小さな制御器が、累積では巨大な数量に達していたことになる。

Falconは32ビットの中核であり、資料に残る記述では資料用高速記憶を持たない構成だった。単純な順序制御や定型処理には適していたが、機能の増加と保安要件の高度化には対応しにくくなった。NVIDIAが代替を探し始めたのは、性能不足というより設計の持続性の問題だったと解釈できる。

基本ソフト側の受け皿も広がっている。Linux 7.2、UltraRISC RISC-V対応をデフォルトビルドで有効化が示すように、中核体系への対応は既定の構築対象になりつつある。制御用中核が増えても、核体系と基本道具が整えば開発の継続性は保たれる。

開放型命令体系を選択した経緯と背景

NVIDIAはArmやMIPSを含めた複数の命令体系を評価した末に、開放型のRISC-Vを選んだ。開放型とは使用許諾料を伴わず仕様が公開され、拡張を独自に定義できる枠組みを指す。特定の供給者に縛られず、製品ごとに必要な機能だけを取り込める点が利点である。

制御用中核では演算性能の絶対値よりも、用途別の調整のしやすさが重要になる。保安区画では検証のしやすさが求められ、電源管理では応答の確実性が求められる。映像処理では定型演算の効率が求められる。単一の汎用中核で覆うより、基本を共有しつつ拡張で変える方が合理的である。

RISC-Vは拡張の定義方法が仕様に含まれ、最小構成から出発できる。不要な命令を取り除き、必要な拡張だけを加える設計思想である。10〜40基という搭載数のばらつきとも相性が良い。製品階層ごとに中核の構成を変えても、道具鎖や検証手法を共有できる。

供給網の観点でも選択は理解できる。独自中核の維持には道具鎖や検証環境の維持費が伴う。外部の生態系と仕様を共有すれば、人材の確保や再利用が容易になる。年間10億の規模では、わずかな開発効率の差が総費用に大きく響く。

累積出荷規模が示す設計思想の変化

2024年の1年間で10億を超えたという数量は、RISC-Vの普及を語る上で象徴的である。携帯端末や小型計算機での採用とは別に、GPU内部の制御用としての大量消費が存在したことが明らかになった。利用者の目に触れない場所で、開放型命令体系が既に量産規模に達していた。

Falcon時代の約30億個という累積数との対比も示唆に富む。独自中核で30億個を積み上げた経験が、開放型への移行を後押しした可能性がある。自社だけで道具鎖を維持する負担と、共有生態系に乗る利益を比較した結果だと見るのが妥当である。

この変化はGPUの定義にも関わる。GPUは描画や行列演算の加速器であると同時に、電源や保安や映像を束ねる統合部品である。制御用中核の数が製品階層を表す指標になるなら、利用者は演算性能だけでなく制御の質で製品を選ぶことになる。

今後の焦点は中核の構成の開示範囲である。現時点では搭載数の範囲と用途の概要、移行の経緯が示されたにすぎない。各機関の具体的な構成や相互接続、更新機構の詳細は公開されていない。保安に関わる部分は開示に限度があるが、開発者向け資料の充実が進むかが注目点である。

編集部の見解

短期的影響について述べる。今回の開示は3〜6か月の範囲で、制御用中核向けの開発需要を押し上げると見る。道具鎖や検証環境の整備が進み、求人や設計受託の条件にRISC-V経験が含まれる場面が増えると評価する。GPU周辺の電源管理や保安機能の資料が拡充され、関連企業の対応も加速すると見る。

長期的視点について述べる。1〜3年の範囲では、加速器内部の異種混載が設計の常識になると評価する。演算器の性能競争と並行し、制御用中核の再利用性や検証のしやすさが製品価値を分けると見る。開放型仕様を共有する動きは他の加速器にも広がり、独自中核の維持費が相対的に重くなると言えそうだ。

編集部からの問いを示す。残る論点は構成の透明性と検証可能性である。保安区画の詳細を開示できない事情は理解できるが、更新手順や寿命管理の考え方は共有できるのではないだろうか。利用者が制御用中核の存在を前提に製品を選ぶ時代に、どの情報を開くべきかが問われていると評価する。

参考

よくある質問

NVIDIAのGPUに載るRISC-V中核は何をするのか
描画や並列演算ではなく電源管理や温度監視、映像の符号化と復号、保安機能などの補助処理を担う。製品により10〜40基が載り、上位製品ほど制御対象が多いため搭載数が増える構造である。
以前のFalconとは何が違うのか
FalconはNVIDIA独自の32ビット微小制御器で資料用高速記憶を持たない構成だった。15種超の機関が1素子に載る規模に成長したが、機能拡大に対応しにくくなり、開放型で拡張性のあるRISC-Vへ移行した。
なぜArmやMIPSではなくRISC-Vが選ばれたのか
仕様が公開され使用許諾の制約が少なく、製品ごとに必要な拡張だけを取り込める点が理由である。道具鎖や検証手法を共有しつつ構成を変えられるため、年間10億規模の量産にも適すると評価できる。
出典: Solidot

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