Nvidia、来年70%成長見込む フアン氏が説明
フアンCEOは来年度70%増収を見込むと表明。需要可視性と供給網把握を根拠に挙げた。
Nvidiaの創業者兼最高経営責任者であるJensen Huang氏は、2026年9月10日に開催されたGoldman Sachs Communacopia + Technology会議に登壇した。 同氏は2027年度に当たる来年の売上高が前年比70%増加する可能性があるとの見通しを改めて示した。 TechCrunch AI の Julie Bort の報道では、同氏が記録的な成長の持続に強い自信を示したと伝えた。 8月の決算発表時に初めて示した見通しを、改めて繰り返した形だ。 市場では同社の成長鈍化を懸念する声もある。 それに対し同氏は需要の可視性が高いことを根拠に挙げた。
同社の当年度の売上高は約4000億ドルに達すると分析されている。 70%成長が実現すれば、来年度は約6800億ドル規模になる計算だ。 AI向け演算基盤の需要がどこまで続くかが焦点になっている。 同氏は自社が生態系全体に組み込まれている点を強調した。 単なる半導体供給者ではないとの立場を明確にした。
来年度70%増収見通しを再表明
Huang氏は会議の場で来年の増収見通しに再び言及した。 同氏は前年比で70%成長できる可能性があると発言した。 そのうえで実現に自信があるとの認識を示した。 この見通しは8月の四半期決算時に初めて公表されたものだ。 当時も同社は過去最高の四半期売上高を計上していた。 それでも成長鈍化ではなく加速を見込んでいる点が注目された。
同氏は現在の販売動向も好調だと説明した。 36基のGrace CPUと72基のBlackwell GPUを組み合わせた計算機が対象だ。 この製品は前月比27%の販売増が続いているという。 特定製品だけで2桁の月次成長が続く状況だ。 AI基盤への設備投資が依然として強いことを示す。 短期的な需要後退の兆候は見られないと主張した。
“I think we could grow 70% year over year. We’re confident about that,”
この発言は強気の業績観を象徴している。 投資家の不安を打ち消す狙いがあると見られる。 AI基盤市場の拡大が前提条件になる。 供給制約を解消できるかが鍵を握る。
一基850万ドルのGPUという現実
Huang氏は自社製品への誤解が残ると指摘した。 多くの人はNvidiaが単なる半導体を製造していると考えているという。 しかし現在の製品は従来の消費者向け画像処理装置とは異なる。 輸送に航空機が必要な規模の装置だと説明した。
“Most people think Nvidia builds a chip. I mean, you need airplanes to ship what we build,”
同氏によれば、現在のGPUは一基850万ドルに達する。 NVLinkで接続され、部品点数は200万点に及ぶ。 消費電力は25万キロワットに上るという。 数千基規模で出荷される巨大な計算機構だ。 399ドルの製品を販売していた時代とは構造が違う。 同社は計算機全体と接続網を含めて供給している。
この主張は粗利率の高さへの批判に対する反論でもある。 製品は半導体単体ではなく分散計算基盤だとの立場だ。 開発から導入支援まで含めた提供形態になっている。 価格の妥当性を装置規模から説明する狙いがある。 顧客は演算能力と稼働率に対して対価を払っている。 単体部品の原価比較は実態を表さないと訴えた。
末端の製品戦略も並行して進んでいる。 Nvidia、RTX Sparkを長期展開 N2X・N3Xも計画済み が伝える通り、小型演算機の継続展開も図られている。 大規模装置と小型装置の両輪で市場を押さえる構えだ。 開発者層の取り込みが狙いにあると見られる。 基盤全体での囲い込みが進んでいる。
全需要を把握する供給網の視座とは
Huang氏は将来の需要を見通せると主張した。 理由として挙げたのは生態系全体への組み込みの深さだ。 同氏は自社が全ての模型を動かしていると発言した。 AnthropicやOpenAI、Googleの模型が対象に含まれる。 公開重み付きの模型も同社基盤上で動作しているという。
“Nvidia runs every model. Every single lab can use us,”
同氏は自社をAI生態系の基礎的基盤だと位置付けた。 AI産業全体の土台を担うとの認識を示した。 供給側では記憶素子製造業者と連携している。 需要側では資料館計画や新興企業まで把握しているという。 世界中の土地や電力、建屋の状況を追跡していると述べた。 建屋とは計算機を設置する前の資料館建物を指す。
同氏は協力網からの報告が集まると説明した。 新興雲事業者や装置製造業者からの情報が含まれる。 大手雲事業者やAI専業企業も報告元になるという。 あらゆる層と協業しているため全体像が分かると主張した。 受注残と建設中の案件が需要予測の材料になる。 供給網全体の可視性が強気見通しの支えだ。
基盤競争の構図は他地域でも激化している。 4社が選んだAgentic Infra、Infinigenceの戦略 は、主体別の基盤選定の動きを伝えている。 特定業者への依存を避ける動きも広がっている。 それでも現時点ではNvidiaへの集約が続いている。 可視性の高さ自体が競争優位になっている。
循環取引批判への反論と競争環境
Huang氏の発言は循環取引への疑問を招いた。 循環取引とは同社が出資した企業が同社製品を購入する構造を指す。 売上高が実需を伴わず膨らむとの批判がある。 同氏はこうした取引ではないとの立場を強調した。 実需に基づく販売だとの認識を示した。 詳細な財務内訳には踏み込まなかった。
競争環境は厳しさを増している。 大手雲事業者であるAmazonやMicrosoft、Googleが自社開発を進める。 AI研究所であるAnthropicやOpenAIも独自素子を模索している。 新規公開したCerebrasやEtchedのような新興企業も追い上げる。 あらゆる方向からの圧力に直面している。 それでも当面の優位は揺らがないとの主張だ。
命令集合や program 体系の開放性も論点になる。 Tenstorrent、RISC-Vコア「Ascalon XG」のGCCパッチ公開 は、開放型命令集合を軸とする陣営の整備を示している。 Nvidiaは独自接続技術と program 基盤で対抗している。 移行費用の高さが顧客の継続利用を促している。 競争は素子性能だけでなく生態系全体に及んでいる。 開発者資産の蓄積が参入障壁になっている。
データセンター需要の持続性と課題
AI向け資料館への設備投資は世界規模で続いている。 電力確保が最大の制約条件になっている。 土地と電力と建屋の三要素が同時に必要だ。 Huang氏は全てのギガワット規模案件を追跡していると述べた。 文字通り地球上の全案件を把握しているとの表現を用いた。 供給網の管理能力を誇示する発言だ。
課題は需要の質と持続可能性にある。 設備投資が過剰になれば調整局面が訪れる。 電力網や冷却水の制約も顕在化している。 地政学的分断が供給網に影響する可能性もある。 輸出規制の強化は販売地域を限定する。 それでも同氏は来年までの需要に自信を示した。
技術者にとっての影響も大きい。 特定業者の基盤への最適化が進めば移行費用が増す。 一方で開放型の模型や互換層の整備も進んでいる。 調達部門は複数供給元の確保を求めている。 運用部門は電力効率と稼働率の改善を求めている。 製品選定では総所有費用の評価が重要になる。
編集部の見解
短期的影響として、今後3か月から6か月では設備投資の継続が焦点になると見る。Huang氏の70%増収発言は顧客や供給業者への発注を促す効果を持つと評価する。記憶素子や電力設備、冷却装置の需給は一段と引き締まる可能性があると見る。競合の独自素子は試作段階にとどまり、量産切替は進まないと見る。
長期的視点では、1年から3年で基盤の分散化が進むかが問われると見る。大手雲事業者とAI研究所の内製化は性能より費用削減を狙う動きと評価する。開放型命令集合や互換 program 層が育てば、特定業者への依存は低下すると見る。電力制約が続けば、演算効率が市場評価の軸になると見る。
編集部からの問いとして、需要可視性の透明性が問われていると考える。報告網の広さは強みだが、実需と出資先需要の区別は外部から検証できないのではないだろうか。循環取引ではないとの主張を裏付ける開示は十分なのだろうか。投資家と技術者はどの指標で実需を判断すべきなのだろうか。
参考
- 「Jensen Huang explains why Nvidia will grow an astounding 70% next year」, by Julie Bort — TechCrunch AI, 2026-09-10T21:51:59.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://techcrunch.com/2026/09/10/jensen-huang-explains-why-nvidia-will-grow-an-astounding-70-next-year/
よくある質問
- Nvidiaは来年にどの程度の成長を見込んでいるのか
- Huang氏は前年比70%の増収が可能だとの見通しを示した。8月決算時の見通しを9月の会議で繰り返した。当年度約4000億ドルに対し、来年度は約6800億ドル規模になる計算だ。
- 70%成長の根拠として何を挙げたのか
- 全てのAI模型が自社基盤で動作し、生態系の土台だと主張した。土地や電力、建屋の案件を世界規模で追跡している点を挙げた。新興雲事業者や装置製造業者からの報告が需要予測の材料になると説明した。
- 循環取引との批判にはどう答えたのか
- 同氏は循環取引には当たらないとの立場を強調した。実需に基づく販売だとの認識を示した。具体的な財務内訳には踏み込まなかったため、外部からの検証は難しい状況だ。
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