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Samsung、先端ファウンドリー価格を最大15%値上げへ

Samsungが4nm、5nm、8nmプロセスの受注価格を引き上げ。AI需要による生産能力の逼迫が背景にある。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

Samsung、先端ファウンドリー価格を最大15%値上げへ
Photo by Umberto on Unsplash

Samsungが4nm、5nm、8nmの先端ファウンドリープロセスにおける新規受注の価格を2026年7月に引き上げた。Tom’s HardwareのLuke Jamesの報道によれば、中国顧客に対する値上げ幅は最大15%に達するという。

価格改定の詳細と地域差

今回の価格改定は、複数の関係者からの情報に基づいている。4nmプロセス「SF4」の wafer(ウェーハー)単価は、中国および米国顧客に対して6月比で10%から15%上昇した。台湾の顧客に対する値上げ幅は5%から10%と比較的小さかった。5nmプロセス「SF5」では10%から15%、8nmノードでは約10%の値上げが行われた。Samsungはこの報道に対するコメントを拒否している。

AI需要による生産能力の逼迫

値上げの主因は、AIチップに対する膨大な需要である。Samsungの平沢工場にある4nm生産ラインは、昨年末から稼働率100%で運用されているとされる。同ラインはQualcomm向けのロジックチップを製造するだけでなく、Samsung自社のHBM(ハイ・バンドウィス・メモリ)スタックのベースダイも生産しており、外部ファウンドリー顧客と自社メモリ部門がウェーハーの確保を競合している構図だ。

中国顧客の置かれた状況

中国のチップデザイン企業は、米国の輸出規制により先端チップ製造ツールへのアクセスを制限されている。そのため、手元に残された選択肢の一つとしてSamsungのファウンドリーに大幅な値上げでも応じざるを得ない状況にある。実際、Financial Timesの前年報道によれば、Samsungの中国向けチップ輸出は2023年から2024年の間に54%増加しており、Baiduの「Kunlun」向けに3年以上分のロジックダイを供給する契約も含まれていたという。中国からの受注は、米国顧客やSamsung自社の分を差し引いた後の供給能力をすでに超えている。

TSMCとの価格競争の構図

市場のリーダーであるTSMCの動向も、Samsungの価格戦略に影響している。Counterpoint Researchのデータによれば、2026年第1四半期の世界ファウンドリー収入に占めるSamsungのシェアは7%に留まり、TSMCは70%超を占める。しかし、この市場シェアの差が逆にSamsungにとっての価格設定の余地となっている。TSMCの先端能力はAI受注で booked out(予約で埋まっている)状態であり、同社は2026年1月に5nm未満の全ノードで5%から10%の値上げを通知。一部のサービスでは2027年に約25%の値上げが報じられている。SamsungはTSMCの価格が到達する水準の下で値上げを行い、依然として競争力を維持している。

損益分岐点への期待

Samsungのファウンドリー部門は2022年から赤字が続いている。BNK Investment & Securitiesのアナリスト、李敏熙氏は、今回の値上げが続ければ、「ファウンドリー事業は最早来年にも黒字化する可能性がある」と Reuters 通信に語った。この見通しを裏付ける顧客基盤は、過去1年で拡大しており、テスラの165億ドル(約2.4兆円)規模の契約なども含まれるとされる。

編集部の見解

短期的影響 今回の値上げは、TSMCが先に値上げを発表したことで生じた価格帯の余白をSamsungが埋める形となった。AIチップ開発企業にとって、調達先の選択肢はTSMC一極集中からSamsungという代替経路を模索する方向に緩やかにシフトしつつある。今後3〜6ヶ月で、TSMCとSamsungの価格差がどの程度の受注シフトを引き起こすかが、ファウンドリー市場の短期的な注目点となる。 長期的視点 半導体サプライチェーンにおける地政学リスクは、本次の値上げ構造に如実に表れている。米中対立の構造的要因が、ファウンドリーの価格形成を「技術力」だけでなく「地政学的アクセス可能性」に依存させる要因となっている。1〜3年のスパンで見れば、この構造は固定化し、ファウンドリーの価格は技術ロードマップの進展以上に、地政学的リスクプレミアムを反映するものになりそうだ。 編集部からの問い Samsungの黒字化は、自社メモリ部門とのウェーハー争奪という内部矛盾をどう解消できるかにかかっている。外部顧客向けの価格競争力と、自社HBM生産という成長戦略の両立は、難しい均衡要求を突きつける。

参考

よくある質問

Samsungの値上げはどのプロセスに適用され、それぞれいくら上がったのか?
4nmプロセス(SF4)では中国および米国顧客向けに10%〜15%、台湾顧客向けに5%〜10%の値上げが行われた。5nmプロセス(SF5)では10%〜15%、8nmノードでは約10%の値上げが適用されたとされている。
なぜ中国顧客が最も大きな値上げを受けているのか?
米国の輸出規制により、中国企業は先端チップ製造ツールへのアクセスを制限されている。代替調達先が限られる状況で、Samsungのファウンドリーは貴重な選択肢となり、大幅な値上げを受け入れざるを得ない構造にある。
Samsungの今回の価格改定は、TSMCと比べてどのような位置づけになるか?
TSMCは2026年1月に5nm未満の全ノードで5%〜10%の値上げを実施し、さらに2027年には一部サービスで約25%の値上げが報じられている。Samsungの値上げはTSMCの価格水準の下で行われており、依然としてTSMCより割安な選択肢となる見込みだ。 ## 参考 - [Samsung raises advanced foundry prices by up to 15% as AI demand fills its 4nm lines, report claims](https://www.tomshardware.com/tech-industry/samsung-raises-advanced-foundry-prices-by-up-to-15-percent-as-ai-demand-fills-its-4nm-lines) — 2026-08-19公開 - [Linux 7.2-rc1リリース、AMDGPU HDMI 2.1 FRLやCache Aware Schedulingを統合](https://singulism.com/ja/linux-7-2-rc1-released)
出典: Tom's Hardware

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