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Tenstorrent、RISC-Vコア「Ascalon XG」のGCCパッチ公開

TenstorrentがRISC-V CPUコアAscalon XGのGCCパッチを公開。暗号拡張を削減した輸出向けバリエーションの可能性が浮上。

5分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

Tenstorrent、RISC-Vコア「Ascalon XG」のGCCパッチ公開
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TenstorrentがGNU Compiler Collection(GCC)メーリングリストに新たなRISC-V CPUコア「Ascalon XG」向けのコンパイラパッチを投稿した。既存のAscalon Xコアの派生モデルであり、PhoronixのMichael Larabelによれば、同コアの存在が公の場で確認されたのは今回が初だ。

Ascalon XGの正体

TenstorrentのAscalon Xは、同社のHモデルやSモデルを超える高性能アウトオブオーダーRISC-V RVA23コアとして知られている。今回のパッチで明らかになったAscalon XGは、このAscalon Xの変型版である。GCCパッチには「Ascalon Xのグローバル版」と記載されており、対象ターゲット識別子は「tt-ascalon-xg」となっている。

パッチの内容を精査すると、Ascalon XGは既存のAscalon Xサポートとほぼ同じ構成だが、RISC-Vベクトル暗号拡張セット「zvkng」が除外されている。Phoronixの報道では、暗号機能の削減とスループットの引き下げという組み合わせから、中国や類似市場への輸出モデルである可能性が指摘されている。

残された拡張命令セット

zvkngが削除されたAscalon XGも、以下の拡張命令を引き続きサポートする。rva23s64、zfbfmin、zfh、zkr、zvbc、zvfbfmin、zvfbfwma、zvfh、zvl256b、smaia、smmpm、smnpm、smrnmi、smstateen、ssaia、ssstrict、svaduだ。ベクトル暗号以外の機能は網羅的に残されており、汎用コンピューティング性能はAscalon Xと同等と見られる。

米国輸出管理規則の観点では、暗号技術は制限対象となりやすい。Ascalon XGが意図的に暗号拡張を外した設計であることは、規制回避を前提とした製品計画の一環であると推測できる。

GCCへの統合プロセス

現在、Ascalon XGのパッチはGCCメーリングリスト上でレビュー待ちの状態にある。TenstorrentはRISC-V CPUコアのコンパイラサポートをupstreamに統合する作業を継続しており、今回のパッチはその一環だ。GCC 16.2リリースはバグ修正102件で安定性が向上しており、こうした新ハードウェアへの対応も今後のリリースに含まれる見込みだ。

RISC-Vエコシステムにおいて、新コアのコンパイラ対応はハードウェア発売に先行して行われることが通例だ。Ascalon XGのパッチ投稿は、同コアの実チップが近い将来に市場投入されることを示唆している。

編集部の見解

短期的に見れば、Ascalon XGの登場はRISC-V市場における製品ラインナップの細分化を加速させる可能性がある。Tenstorrentが輸出規制対応モデルを用意していることは、同社が中国市場での-presenceを維持しようとする戦略的意図を示している。これはx86やARMのサプライヤーが同様の対応を進めてきた流れに沿うものだ。

長期的には、暗号拡張を除外したRISC-Vコアがどの程度の市場獲得に成功するかが注目点となる。RISC-Vの強みの一つがオープンなエコシステムであり、暗号機能の有無が導入判断にどう影響するかは未検証の領域だ。自動車やIoTなど暗号要件が限定的な用途では、輸出規制に引っ掛からないモデルに需要が集まる可能性がある。

RISC-V ISAの拡張命令が地理的な規制とどう向き合っていくのか、そしてAscalon XGが実際にどのような製品に搭載されるのか。Tenstorrentの次一手に注視が必要だ。

参考

よくある質問

Ascalon XGとAscalon Xの違いは何ですか
Ascalon XGはAscalon Xの派生モデルで、主な違いはRISC-Vベクトル暗号拡張「zvkng」が除外されている点だ。その他の拡張命令セットや基本アーキテクチャは共通であり、グローバル市場向けの輸出モデルであると推測される。
なぜ暗号拡張を削除するのか
米国の輸出管理規則において、暗号技術は制限対象となりやすい。Phoronixの報道によれば、Ascalon XGが中国向けなどの輸出モデルである可能性が高いとされており、規制を回避するために意図的に暗号機能を除外したと見られる。
Tenstorrentとはどのような企業か
Tenstorrentはジム・ケラー氏がCTOを務めるRISC-Vベースのプロセッサ設計企業だ。高性能CPUコアの開発とRISC-Vエコシステムの拡充を推進しており、Ascalonシリーズはそのコア製品群に位置づけられる。
出典: Phoronix

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