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AI採鉱企業の顧問就任発表、元米報道官が「偽り」と否定

AI採鉱企業NREDの顧問名簿に元ホワイトハウス報道官が記載されたが、本人は就任を否定。企業側も役割が実現しなかったと説明し、発表と実態のずれが浮かび上がった。

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AI採鉱企業の顧問就任発表、元米報道官が「偽り」と否定
Photo by Dominik Vanyi on Unsplash

WiredのTess Owen、Tim Marchman両記者の報道によれば、AIを用いたレアアース採鉱を掲げる企業NRED Intelligent Miningの顧問名簿に、元ホワイトハウス報道官のKatie Zacharia氏の名前が記載されていた。同氏は就任を否定し、企業側の関係者も記載の存在は認めつつ、役割が現実のものにならなかったと説明する。AIを看板に掲げる新興企業の対外表明と実態のずれが、複数の人物の証言によって浮かび上がった形だ。

AI採鉱企業NREDと発表の概要

発端は2026年6月24日の発表だ。当時NovaRed Miningという名称だったカナダ・バンクーバーの小規模な銅・金探査企業が、Zacharia氏の顧問就任を伝えた。同社はその後、NRED Intelligent Miningへと社名を変えている。

発表の内容は、Zacharia氏がKristi Noem氏とともに顧問会議に加わるというものだった。Noem氏は元国土安全保障省長官であり、NREDの戦略顧問を務める。Zacharia氏は取締役会に対し、探査プロジェクトの推進と「新興の人工知能関連の取り組み」について「戦略的な指針」を提供するとされていた。Noem氏の就任発表から8日後の出来事である。

Wiredの報道では、Zacharia氏はこの2カ月前に国土安全保障省の報道官職を離れていた。レアアースは半導体、電気自動車、防衛機器など幅広い先端産業に欠かせない素材であり、その採鉱工程にAIやロボットを持ち込む試みは、ここ数年で関心を集める領域となっている。NREDもそうした文脈に自社を位置づけていると見られる。

顧問就任の発表と本人による否定

ところがZacharia氏本人は、この就任を事実として認めていない。Wiredが金曜日に、今も顧問会議に名を連ねているのかを尋ねたところ、同氏は「あれは偽りだ」と述べ、Sam Amsterdam氏を紹介した。

Amsterdam氏は「戦略的なマーケティングとメディア対応の専門家」を自称し、カザフスタン政府やジョージア、ナイジェリア、ジンバブエの政党を顧客に持つとされる。同氏は「あの発表はZacharia氏の承認を得ておらず、同意なく出された」と説明する。

Amsterdam氏の兄弟は、NREDのウェブサイト上で経営陣の一人として記載されている。同氏はZacharia氏の友人かつ同僚として話していると述べ、企業の代理人ではないと断った。さらに、入社に向けた協議はあったものの、実際には同氏が加わっていないと付け加えている。

企業側が語る役割の実現しなかった経緯

企業側にも近い説明がある。NREDの最高技術責任者で、現在は最高経営責任者への就任手続き中だと述べるValentin Saitarli氏は、役割について協議があったことを認めた。ただし「現実にはならなかった」とし、「ジムに入会したものの、結局一度も運動しに行かないようなものだ」と表現した。

Saitarli氏はNREDについて「われわれはロボットとAIを全面的に活用する」と説明している。AIを採鉱工程の中核に据える構想を掲げる企業であることがうかがえる。一方で、対外的に示した人材の構成と、実際に関与した人物との間に開きがあったことも同時に示している。

ウェブサイト上に残り続けた記載

公開情報の扱いには食い違いが残る。Amsterdam氏は発表が取り下げられたとの認識を示したが、Zacharia氏の就任を伝える発表は、Wiredの確認時点でNREDのウェブサイトに掲載されたままだった。アーカイブされた版では、少なくとも7月の時点でZacharia氏が経営陣として記載されていた。

Wiredがこの点をSaitarli氏に問うと、同氏はサイトを更新中だと答えた。対外的な発表と本人の認識、そして掲載が続くウェブ上の記述という三つの情報が、一致していない状態にある。企業の信用を裏付ける情報が、誰の承認も得ないまま長期間公開されていた可能性を示す。

元報道官の経歴と発言をめぐる疑問

Zacharia氏の経歴をめぐっては、以前から複数の疑問が指摘されてきた。Wiredによれば、同氏はホワイトハウス報道官としての在任5日目に解任された。長く弁護士を自称しながら、カリフォルニア州の司法試験に合格していなかったことも、後に認めざるを得なかったとされる。加えて、フィットネス分野の連鎖販売取引であるBeachbodyのアフィリエイト・マーケターを務めていた経歴もWiredが報じている。

同氏はNoem氏の下で、国土安全保障省の広報担当副次官補として約1カ月勤務した。事実上の同省首席補佐官とされるCorey Lewandowski氏と近い関係にあったと報じられているが、同氏はこれを否定している。

AI活用企業の表明と実態の乖離

一連の経緯は、AIを成長の軸に掲げる新興企業が、対外的なメッセージをどこまで統制できているのかという論点を提示する。顧問名簿やプレスリリースは、企業の信用を裏付ける情報として投資家や取引先に参照される。にもかかわらず、本人が関与を否定し、企業側も「実際には実現しなかった」と説明する案件が、公開情報として長く残っていたことになる。

AI導入やAI支出の実態を可視化しようとする動きは、企業統治の文脈でも広がっている。Ripplingが発表したAI支出を追跡するツールのような取り組みは、AI関連の支出や活動を可視化する狙いを持つ。今回の事例は、支出ではなく「対外的な表明」の検証が問われたケースと位置づけられる。

編集部の見解

短期的には、AIを掲げる新興企業の対外発表に対する投資家や取引先の目が厳しくなる。顧問名簿やプレスリリースの裏付け確認が、資金調達や提携の前提条件として重視される方向に進むと当編集部は見る。特に人名を用いた信用補強は、本人確認の有無が問われる論点となる。

長期的には、AI企業の評価軸が技術や実績に加え、公開情報の正確性へと広がる。顧問や経営陣の記載が実態と乖離すれば、企業価値そのものが毀損され得る。ウェブ上の記述を継続的に検証する仕組みへの需要が高まる可能性がある。

編集部としては、企業が「AIを活用する」と述べる際、その表明を誰が承認し、誰が検証するのかという統治の設計が問われていると考える。対外的な発表の信頼性をどう担保するかは、AI時代の企業統治における未解決の課題だ。

参考

よくある質問

NRED Intelligent Miningとはどのような企業か
カナダ・バンクーバーに拠点を置く鉱業企業で、以前はNovaRed Miningという名称の銅・金探査企業だった。AIとロボットを採鉱工程に活用する構想を掲げ、元国土安全保障省長官のKristi Noem氏を戦略顧問に迎えている。
Katie Zacharia氏はなぜ顧問就任を否定しているのか
同氏は顧問就任を伝える発表について「あれは偽りだ」と述べ、発表が本人の承認なく出されたと説明している。企業側の最高技術責任者も、役割について協議はあったが現実にはならなかったと認めている。
今回の事例がAI業界に示す論点は何か
AIを掲げる企業の対外発表と実態のずれが、公開情報として長く残り続けた点である。顧問名簿やプレスリリースの裏付け確認が、投資判断や提携の前提として重要になることを示している。
出典: Wired

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