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ChatGPT、Chromeの開いたタブを読み取り可能に

OpenAIがChatGPTのChrome拡張機能を強化し、開いているタブの内容を参照できるようにした。サイドバー常駐とタブ操作機能も追加され、ブラウザ上の作業をAIが担う領域が広がる。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

ChatGPT、Chromeの開いたタブを読み取り可能に
Photo by Rubaitul Azad on Unsplash

The VergeのStevie Bonifieldの報道によれば、OpenAIはChatGPTのGoogle Chrome拡張機能に複数の機能強化を施した。拡張機能を導入した状態で、ChatGPTのWeb版またはデスクトップアプリ内でChromeに言及すると、現在開いているブラウザタブの内容をChatGPTが参照できるようになる。

OpenAIはこの機能のデモ動画を公開している。動画では、検討中のソファについて、開いている3つのタブを比較するようChatGPTに依頼する様子が収められている。従来は各タブの内容を個別にコピーして貼り付ける必要があった作業が、タブを開いたまま指示を出すだけで完結する。

拡張機能が追加した機能

OpenAIが公開したサンプルクエリからは、想定される用途の広がりが読み取れる。イベント概要の詳細を使って登録フォームを入力し、送信直前で止める、といった操作が挙げられている。複数タブの業者情報を料金・主要機能・出典リンク付きで比較表にまとめる用途も示されている。

開いているタブをすべて確認したうえで業者サービスを比較し、自宅改修に適した業者へ送るメールの下書きを作成する例も提示されている。歯科医院の受診前に開いているフォームを入力し、予約を作業用と個人用のカレンダーに追加する用途も列挙されている。

いずれも、複数のタブを行き来しながら情報を転記する作業を、指示一つでAIに委ねる発想だ。情報の集約と整形という、ブラウザ作業のなかでも反復性の高い部分が自動化の対象になっている点が注目される。

サイドバー常駐とタブ操作

今回の更新ではサイドバー上のChatGPTも刷新された。OpenAIは「ChatGPTの全機能」と、ChatおよびWorkにおける会話履歴のすべてを、閲覧中のページを離れることなく利用できると説明している。作業中の画面を維持したままAIへ問い合わせられる構成だ。

さらにChatGPT WorkはChromeのタブを「操作」できるようになる。メッセージの送信、フォームの入力、ファイルのダウンロードといったタスクが対象に含まれる。GoogleのGeminiを基盤とする「auto browse」機能に近い位置づけである。開いているタブを整理・グループ化する機能も加わった。

タブの内容を読む段階から、タブ上で実際に操作を実行する段階へと、拡張機能の役割が広がりつつある。AIが閲覧者の代わりに手を動かす仕組みは、対応する操作が増えるほど利便性が高まる一方、誤操作や意図しない送信のリスクも伴う。フォーム送信の直前に停止させる例子が示されているのは、こうした懸念を踏まえた設計とみられる。

Atlas終了後の戦略

この動きは、OpenAIが独自ブラウザ「Atlas」を終了させた後の布石と位置づけられる。専用ブラウザを自前で提供する路線から、既存のChromeへ拡張機能で入り込む路線へと軸足を移した形だ。利用者の多いブラウザ上で機能を提供するほうが、接点を確保しやすいという判断が背景にあると見られる。

ブラウザを自社で抱えるには、互換性の維持やセキュリティ更新など相応の負担が生じる。拡張機能であれば、対応ブラウザの土台を借りながらAI機能だけを差し込める。開発資源をAI能力の強化に集中させるうえでも合理的な選択だ。

競合各社も同様の方向を模索している。GoogleはGeminiをChromeやWorkspaceへ深く統合し、MicrosoftはCopilotをEdgeとWindowsに織り込む。AIアシスタントがブラウザを経由してあらゆる作業に関与する構図が、主要各社の共通戦略になりつつある。

プライバシーと権限の論点

開いているタブをAIが参照する機能は、利便性と引き換えに閲覧データの扱いが問われる。どのタブを、どのタイミングで、どこまで読み取るのか。利用者が明示的に指名したタブに限るのか、バックグラウンドで開いたタブも対象になるのかによって、実効的な権限範囲は大きく変わる。

OpenAIの説明では、ChatGPT内でChromeに言及した場合にタブを参照するとされている。とはいえ、タブ操作機能まで含めると、AIが扱える情報と実行できる操作の境界を利用者が把握しにくくなる懸念は残る。企業が業務で導入する際は、取り扱う情報の範囲をあらかじめ定める運用が求められる。

過去には、ChatGPTをめぐる障害や人間による会話審査の実態が報じられた経緯もある。AIが日常の閲覧作業に入り込むほど、透明性の確保と権限設計の妥当性が導入判断の鍵になる。

編集部の見解

短期的には、Chrome利用者を中心に拡張機能の導入が進むとみる。複数タブの比較や転記といった定型的な作業をAIに委ねる需要は大きく、競合のGeminiやCopilotとの機能競争が数カ月単位で激しくなる。

長期的には、AIが閲覧者の作業を代行する流れが加速する。1〜3年でブラウザは情報を見る場から、AIに指示を出す操作の場へと性格を変え、拡張機能の権限設計が業界標準の論点になる。

編集部としては、タブの読み取り範囲と操作権限を利用者がどこまで制御できるかが普及の分かれ目になると見る。利便性の裏で誰が何を見ているのか、問い続ける必要がある。

参考

よくある質問

ChatGPTのChrome拡張機能で何ができるようになったのか
開いているブラウザタブの内容をChatGPTが参照できるようになった。複数タブの比較、フォーム入力の下書き、情報の整理などを、タブを開いたまま指示できる。サイドバー常駐やタブの操作機能も追加されている。
タブの内容はどのように参照されるのか
OpenAIによれば、ChatGPTのWeb版またはデスクトップアプリ内でChromeに言及すると、開いているタブを参照する。利用者が明示的に指名した操作を起点とする仕組みだ。
独自ブラウザAtlasはどうなったのか
OpenAIのChatGPT Atlasブラウザは終了した。同社は専用ブラウザの提供から、既存のChromeへ拡張機能で機能を組み込む路線へと方針を移している。
出典: The Verge

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