古茗が生ビール試験導入 夜需要開拓の成否は
古茗が杭州で生ビール提供を開始。飽和する新茶飲市場で夜時間帯の収益化を探る動きを検証する。
古茗が杭州市の湖浜銀泰店で注ぎたて生ビールの提供を始めた。 大手新茶飲ブランドが既存店舗に生ビール品目を組み込むのは初めてだ。 虎嗅網の斑馬消費©の報道では、この動きを夜時間帯の収益化に向けた実験と位置付けている。 ほぼ同時期に茶顔悦色の小酒館業態は全店閉店の見通しとなった。 一進一退の対比が、飽和市場の厳しさを示している。
新茶飲業界は出店拡大で成長する段階を終えた。 既存店の稼働率を高めて増収を確保する段階に入っている。 朝はコーヒーで補完する手法が定着した。 残された夜の空白を生ビールで埋められるかが焦点だ。 運営制約や客層の違いが壁となり、再現は容易ではない。
出店拡大の終焉と在庫競争の始まり
調査機関Hongcanビッグデータによると、国内の淹れたて茶飲市場規模は2024年が1757億元、2025年が1957億元だった。 2026年は2100億元に達する見込みだが、成長率は明らかに鈍化している。 市場が拡大する一方で参入者は増え続けている。 iiMediaの集計では、中国の新茶飲ブランド数は2023年の3905から2025年に4223へ増加した。 2026年7月には5422へ急増している。
店舗総数は2023年の44万5100店を頂点に減少が続く。 2026年7月には約37万2700店まで縮小した。 大量の開業と閉店が並行し、入れ替わりが激化している。 商圏の飽和と低価格帯での過当競争が背景にある。 規模拡大だけで安定収益を得る構造は崩れた。
決算は変化を裏付けている。 MIXUEグループの店舗数は2026年6月末で約6万4000店に達した。 茶飲とコーヒー、生ビールを含む数で、前年同期より約1万1000店増えた。 増加率は前年同期比20.75%増に相当する。 それでも2026年上半期の営業収入は152億1600万元にとどまった。 前年同期比の伸びはわずか2.3%増だった。 粗利率の低下と費用増が響き、親会社帰属純利益は前年同期比14.73%減となった。
万店規模を持つ古茗も同様の構図だ。 今年上半期の店舗数は前年同期より3000店増えた。 それでも増収減益の決算となった。 出店が売上増に直結しない段階に入ったことを示す。 業界全体が緻密な運営による既存店の掘り起こしを迫られている。
新茶飲店舗の稼働は昼と午後に集中する。 朝と夜は集客が細り、設備と人員と空間が遊ぶ。 この遊休時間を収益化できるかが競争軸になった。 朝はコーヒーで補完する手法が広がった。 夜は酒類で補完する発想が浮上している。
朝の空白を埋めたコーヒー導入戦略
古茗は店舗へのコーヒー導入に早く着手したブランドだ。 現在の店舗におけるコーヒーマシン普及率は94%に達している。 ほぼ全店で茶飲とコーヒーを併売できる体制が整った。 この体制が朝の需要を取り込んだ。 中間決算の単店指標は前年とほぼ横ばいを維持した。
今年上半期の単店GMVと単店日平均GMVは前年同期並みだった。 単店販売杯数と単店日平均販売杯数も横ばいだった。 虎嗅網の斑馬消費©の報道では、コーヒーが朝の頂上時間帯の空白を補ったと分析している。 茶系飲料の落ち込みを食い止めた効果があったとみる。 時間帯拡大の商業価値を決算数値で示した事例だ。
他ブランドも追随し、構造はさらに複雑になった。 ほぼ全ての大手新茶飲ブランドが店舗にコーヒーを導入した。 一方でLuckinやCottiなど挽きたてコーヒー側も茶系飲料を売り始めた。 本来分かれていた二つの市場は混戦状態に入った。 昼間の生産能力の奪い合いは激しさを増している。
昼の能力を掘り尽くせば、夜が次の開拓対象になる。 店舗の固定費は夜も発生し続ける。 人員の設定と設備の稼働を夜に延ばせれば効率は上がる。 生ビール参入はこの流れに沿った動きだ。 ただし昼の成功手法をそのまま転用できるわけではない。
コーヒーと茶飲は運用の相性が良かった。 いずれも年間を通じて需要が安定し、季節変動が小さい。 製造工程は店舗内の給水と電力と人員で完結する。 許認可の追加負担も比較的小さい。 既存の供給網と人材育成の仕組みを流用できた。
この条件が夜の酒類には当てはまらない。 消費時間帯と利用者層が大きく異なる。 保存と品質管理の要求も別物だ。 コーヒーの成功を根拠に楽観はできない。 古茗の慎重な試験導入の姿勢がそれを物語る。
夜需要を狙う三つの酒類販売モデル
茶飲店の酒類販売は新しい試みではない。 長年の試行で三つの異なる型が生まれた。 いずれも完全には確立していない。 虎嗅網の報道では、重資産型と独立型と組み込み型に整理している。
一つ目は茶顔悦色が選んだ重資産の空間型だ。 2024年4月15日に独立の副ブランドを打ち出した。 名称は昼夜詩酒茶・芸文小酒館である。 最初の5店舗を長沙で開業させた。 茶と酒を融合させた没入型の店内飲食を売りにした。
昼は茶、夜は酒を同じ空間で提供する発想だった。 文化要素を取り込み、滞在時間の延長を狙った。 2年以上の模索を続けたが、型は固まらなかった。 持続的で健全な売上を作れなかった。 今年10月31日に全店閉店する見通しとなった。
二つ目はMIXUEが歩んだ独立副ブランド型だ。 2025年9月に2億9700万元を出資した。 生ビールブランドのフールージアの53%株式を取得し、連結対象に組み入れた。 フールージアは6人民元から11人民元で500mlの注ぎたて生ビールを提供する。 低価格帯で日常的な消費を狙う設定だ。
MIXUEの成熟した加盟体系を生かし、拡大は速かった。 現在の店舗数は3000店を突破した。 年初から倍以上に増えた計算になる。 ただしMIXUEグループは半期報告書で同ブランドの経営実績を開示していない。 関連記述からは供給網整備と運営最適化の段階にあることがうかがえる。 新たな成長の柱には育っていない。
独立型の弱点は既存資産を転用できない点だ。 フールージアはMIXUEの手法を参考にできる。 それでも供給網を共有できず、店舗や集客や人員を流用できない。 実質的に新たな市場を切り開くことに等しい。 既存店のコスト優位を失い、成長効率も損なわれる。
三つ目が古茗の軽量な組み込み型だ。 独立店舗や新ブランドを作らない。 試験店舗にビールサーバーを追加設置するだけだ。 既存店の場面を生かして需要を確かめる。 低コストで真の需要を検証し、大規模な試行錯誤の危険を抑える。
三つの型の優劣はまだ判断できない。 重資産型は体験を作れるが投資が重い。 独立型は拡大が速いが既存店の強みを使えない。 組み込み型は危険が小さいが販売量に上限がある。 どの型が夜の正解になるかは検証待ちだ。
生ビール展開を阻む運営面の制約
古茗のコーヒー導入と生ビール導入の姿勢は対照的だ。 コーヒーは大々的に展開し、普及率は94%に達した。 生ビールは杭州の一店舗でひっそりと試している。 虎嗅網の報道では、この違いが運営の難しさを示すとみる。 短期の全国展開は難しい条件が重なっている。
最初の関門は許認可だ。 通常の茶飲店舗は酒類販売資格を含まないことが多い。 一部の省や市では一定の監督管理の要求がある。 酒類販売は厳しく管理され、未成年者への販売は禁じられている。 一定の監督管理上の危険が存在する。 不注意があれば店舗体系全体に波及しかねない。
運営面の弱点も際立っている。 コーヒーと茶飲は年間を通じて安定した品目だ。 季節変動が小さく、需要予測が立てやすい。 生ビールは季節性と場面性の属性が強い。 消費は夏の夜間や休日に集中し、秋冬には需要が大幅に縮む。
注ぎたて生ビールは鮮度保持と低温流通への要求が高い。 販売期限の管理が厳しく、ロスコストも通常品目より高くなる。 加盟店の導入意欲に直接影響する要素だ。 本部の供給網整備だけでは解決できない。 店舗ごとの廃棄と在庫の負担が残る。
本内容は執筆者の許諾を得て掲載するもので、見解は執筆者本人のみを代表し、Huxiuの立場を代表しない。
既存店活用の成否を分ける供給網
利用者基盤の違いも大きな論点だ。 古茗の中核客層は学生や若い女性が中心とされる。 生ビールに対応するのは夜の社交場面で、男性利用者が多い。 品目間の利用者基盤を通わせることは難しい。 安定した再来店につながりにくい構造がある。
時間帯の行動様式も異なる。 茶飲は持ち帰りと短時間滞在が中心だ。 回転率が高く、店舗面積あたりの効率を確保しやすい。 酒類は滞在時間が長く、会話と同伴を伴う。 回転率が下がり、騒音や安全管理の負担が増す。 同一店舗で両立させるには運用設計の変更が要る。
供給網の共有可否が成否を分ける。 コーヒーは茶飲の仕入れと物流と人材育成を流用できた。 粉と乳と水の管理は既存工程の延長で対応できる。 生ビールは低温流通と樽管理と洗浄工程が別体系になる。 既存の茶飲供給網に相乗りできない部分が大きい。
MIXUEの事例がこの壁を示している。 成熟した加盟体系があっても別供給網では効率が落ちる。 古茗の組み込み型はこの課題を最小化する狙いだ。 既存店に最小限の設備を追加し、需要の実像を確かめる。 全国展開の前に店舗経済性を検証する手順は堅実だ。
夜の増分開拓は業界共通の課題として残る。 昼の能力活用が限界に近づけば、夜の活用は避けられない。 生ビールが適品かはまだ結論が出ない。 低アルコール飲料や軽食との組み合わせも選択肢になる。 店舗の遊休時間を生かす運用技術の競争が続く。
編集部の見解
短期的影響について述べる。今後3か月から6か月では、古茗の試験店舗の販売数値が注目を集めると見る。夏季の需要期を過ぎれば、秋冬の落ち込み幅が運営可否の判断材料になる。加盟店の導入意欲を左右するため、本部は許認可支援と廃棄負担の設計を示す必要があると評価する。
長期的視点について述べる。1年から3年では、夜時間帯の店舗活用が小売全体の効率競争に波及すると見る。低温流通と樽管理を既存網に組み込めるかが鍵になる。利用者層の違いを埋める品目設計が進み、茶飲と酒類の中間領域が形成される可能性があると評価する。
編集部からの問いを提示する。既存店の遊休時間を生かす手法は、品目追加だけが正解ではないのではないだろうか。滞在時間の長い酒類は回転率と安全管理の前提を変える。省人化機器と需要予測を組み合わせた運用技術こそが問われているのではないだろうか。
参考
- 「 古茗入酒局,啤酒是新茶饮的夜间解药? 」, by 斑马消费© — 虎嗅网, 2026-09-08T23:47:55.000Z (ARR)
- 元記事URL: https://www.huxiu.com/article/4889662.html?f=rss
よくある質問
- 古茗の生ビール試験導入の内容は何か
- 杭州湖浜銀泰店で注ぎたて生ビールの提供を始めた取り組みだ。大手新茶飲で店舗内への生ビール組み込みは初めてとされる。独立店を作らず既存店にサーバーを追加する軽量型で、需要検証が目的だ。
- 茶顔悦色の小酒館はなぜ閉店するのか
- 昼夜詩酒茶・芸文小酒館は2024年4月に長沙で5店舗から始まった。茶と酒の没入型空間を狙ったが、商業型を確立できず持続的な売上を作れなかった。2025年10月31日に全店閉店の見通しとなった。
- 生ビールはコーヒーのように定着できるか
- 難易度は高いとみられる。許認可や未成年販売禁止の管理、季節性や低温流通のロス、客層の違いが壁になる。コーヒーのように既存供給網を流用できず、全国展開には店舗経済性の検証が欠かせない。
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