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英国税務庁、ローコード開発に6.5億ポンド調達

英国税務・関税庁HMRCがローコード開発プラットフォーム向けに最大6億5700万ポンド規模の3契約を発注。レガシーシステムの抱える構造的問題とローコードのコスト神話が浮き彫りになった。

6分で読める SINGULISM 編集チームが確認・編集

英国税務庁、ローコード開発に6.5億ポンド調達
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英国の税務・関税庁HMRCが、ローコード開発プラットフォーム向けの調達で最大6億5700万ポンド(約1250億円)に達する3契約を発注した。レガシーシステムの oldest な問題をローコード技術で解決しようとする試みだが、発注額は「ローコード=低コスト」という通念を覆す規模だ。

3社に分割された6.5億ポンド

The Register の Lindsay Clark の報道によれば、HMRCは2026年8月にローコード調達の落札結果を公表した。/Framework: DALAS(Digital and Legacy Application Services)フレームワークを通じた調達であり、3社に業務が分割されている。

最大額はCognizantの3億6000万ポンド(Lot 1)だ。同社はローコード技術estate向けの「設計、開発、テスト、展開、運用、継続的改善」を担う。ローコード製品のビルド、構成、DevOps、運用サービス管理が業務の中心となる。

インド系ITサービス企業Coforgeは2億1900万ポンド(Lot 2)を獲得し、Cognizantと同等のサービスを提供する。フランスの大手コンサルティング企業Atosは7820万ポンド(Lot 3)で、ローコード技術estateの「プログラム管理、サプライヤー管理、ガバナンス、アシュアランス、展開サポート」を担当する。

3契約すべて、初期期間は3年間で、1年間の延長オプションが2回設定されている。

45億ポンド規模のDALASフレームワーク

今回の調達はDALASフレームワーク第2段階の一部に位置づけられる。Lot 4a(マルチプロダクト構成セクション)は当初7億ポンドと試算されていたが、Lot 1、4a、4bを含む第2段階全体の推定総額は28億ポンドに引き上げられている。DALASフレームワーク全体の最大評価額は45億ポンドに達する。

Lot 4aの対象となるローコード技術には、Pega、ServiceNow、Microsoft Dynamics、Power Platformが含まれる。主要なローコード・ローコード系プラットフォームが網羅的にカバーされている。

レガシーシステムの構造的問題

HMRCが莫額のローコード投資に動いた背景には、長年のレガシーシステム問題がある。英国の監査機関国家審計院(NAO)は2025年の報告書で、「レガシーシステムの修復はHMRCが想定していたより長くかかっており、コストも膨らんでいる。HMRCは英国最大級かつ最も複雑なIT環境の一つを保有しており、技術の進化に追いつけるようITインフラを近代化するのは大きな課題だ」と指摘している。

HMRCが1年間に徴収する税収は9388億ポンドに上る。英国の歳入を担う組織のITインフラがいかに大規模で複雑であるかは、発注額の規模からもうかがえる。

「低コスト」神話の払拭

本件はローコード開発のコストに関する業界の認識に一石を投じるものである。ローコード技術は従来、エンジニアリングリソースを削減し、開発コストを低減する手段として位置づけられてきた。しかし、HMRCの事例は、導入の前提となるガバナンス、管理、統治体制に多額のコストが発援することを示している。

特に注目すべきは、ローコード技術の「ビルド」ではなく「リーダーシップサービス」に7820万ポンドが割り当てられている点だ。ローコード導入における意思決定、品質保証、サプライヤー管理の重要性が、技術そのものと同等以上であることを物語る。

ローコードのコスト構造が問われる

編集部の見解

短期的影響 今回のHMRC調達は、英国政府機関がローコード技術への投資を本格化させたことを示す。 DALASフレームワーク全体が45億ポンド規模に拡大しており、公共セクター向けローコード市場の一大案件として、同フレームワークに参入を希望する他社や競合技術のベンダーにとって、市場参入戦略の見直しを促すものだ。今後3〜6ヶ月で、PegaやServiceNowといったローコード基盤技術の英国公共セクション向け価格交渉やカスタマイズサービス市場が活発化する可能性がある。 長期的視点 1〜3年スパンでは、ローコード技術の真のコスト構造に関する業界議論が深まると見る。大規模公共セクションにおけるローコード導入は、技術そのものよりも統治・運用・サプライヤー管理に大きなコストを要する。この知見は、民間企業の大規模ローコード導入でも同様の問題が生じる可能性を示唆する。レガシーシステムの移行プロジェクトにおいて、「ローコードで安価に現代化できる」という認識がどこまで妥当するか、再検証が求められる局面だ。

参考

よくある質問

今回の調達で選定されたローコード技術は具体的に何か
DALAS Lot 4aの対象技術にはPega、ServiceNow、Microsoft Dynamics、Microsoft Power Platformが含まれる。これらのプラットフォームを用いて、HMRCの業務アプリケーション開発・運用を行う。
なぜローコード開発にこれほど高額のコストが発生するのか
ローコード技術は開発スピードの向上とコスト削減を謳うが、大規模組織における導入ではガバナンス、サプライヤー管理、品質保証、既存システムとの統合、移行管理に多額の費用がかかる。HMRCの調達では、技術のビルドだけでなく統治・リーダーシップサービスに7820万ポンドが割り当てられている。
DALASフレームワーク全体の規模はいくらか
DALASフレームワーク全体の最大評価額は45億ポンドに達する。第2段階(Lot 1、4a、4b)の推定総額は28億ポンドで、ローコード調達はその一部に位置づけられる。英国の歳入を担うHMRCのIT環境がいかに大規模かを物語る額だ。
出典: The Register

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